交配するタイミング、メスの発情(生理)
子供を作るタイミングはいつなのかなー。
詳しく知りたいけど…なんだか照れる。
僕たち特有のタイミングがあって照れる必要もないよ!
それについての知識も必要だね。
交配のタイミング
目次
メス犬は「最初の発情で交配してよいでしょうか?」という事を聞かれます。
当然、 妊娠、出産は可能ですが、一般的に見送った方がよいでしょう。
まだ体が完璧には発育しておらず、3回目(約1歳8ヶ月)の発情まで待ったほうが無難です。
2回目の発情だと大体1歳前後です。
1歳前後は人で言うと18歳ぐらいなのでまだまだ体力や発育などが微妙なラインです。
2回目の発情からで大丈夫と言う方もいますが、3回目(約1歳8ヶ月)の発情期の方が人で言うと20歳過ぎぐらいで体力や発育も充分でしょう。
何歳まで出産可能?
出産の年齢制限は5歳までです。
5歳までに出産した経験があるのなら8歳までとなります。それ以上は難産になる可能性があるのでやめておきましょう。
令和3年6月1日から施行される改正「動物の愛護及び管理に関する法律」について
牝犬の生涯出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下となります。
オス犬の場合
オス犬は性成熟に達すると睾丸において精子形成が完全となり、副生殖器(前立腺、精巣上 体、精管など)の発育とともに性欲が表れ、交配が可能な状態になります。
睾丸は胎生期に腹腔で作られて出生時あるいは出生後、陰嚢に降下してきます。
6カ月以上になれば、個体差がありますが、大多数のオス犬ではよく発達した睾丸が二つ、陰嚢内に確認できます。
中には片側、あるいは両側とも睾丸が確認できない停留睾丸(腹腔に睾丸が留まっている)という疾患的素因を持ち、繁殖には向かないので注意が必要です。
発情期(生理、シーズン)を知ろう
発情前の変化(出血がなく発情がくる前の前兆)
- 尿の回数(頻尿)が増加
- 地面の匂いをしつこく嗅ぐ
- そのため呼び込みなど言う事が聞きにくくなる
- オス犬がメス犬の局部をいつもより嗅ぐ
自分の局部をよく舐めたり嗅いだりする
毛質が綺麗になる
乳首が腫れる(肥大)、赤い
最初の発情
メス犬が成長して性成熟に達すると交配可能な状態になります。
最初の発情が見られる時は小型犬で7カ月~9力月(8ヶ月前後)大型犬でも8ヶ月前後ですが、大型犬の方が小型中型に比べると少し遅い傾向があり、12ヶ月前後も珍しくありません。
なので多少個体差がありますので、同じ犬種、体重においてもばらつきが見られます。
犬の発情徴候は、まず外陰部からの出血です。
次第に⇒外陰部が腫大【写真】いちぢくのような状態になります。
出血の量は犬によって個体差があり、無出血の場合も床を血液で汚してしまうこともあります。
出血量が少なく自分で舐めることによって、無出血の状態にしてしまうことがありますが、このような例では交配適期を見つけることが難しくなります。
そして尿の回数も増えますが、犬に見られる膀胱炎でも頻尿の症状が出るので間違えないようにします。
発情によっては血尿が出ることはなく、尿自体は正常です。
局部の腫脹も見られ柔らかくもなりますので、 膀胱炎と明らかに区別できます。
発情出血かどうか不明の場合は、 一度かかりつけの動物病院で診察を受ける事をお勧めします。
このような発情徴候が表れたら、交配相手と連絡をとり交配日を予約します。
メス犬の性周期
メス犬の性周期は
発情前期、 発情期、発情後期、無発情期
に区分され、だいたい6カ月~9カ月の間隔で繰り返されます。
一般的に発情後期を過ぎて次の発情前期までを発情休止期といいますが、犬のような単発情性動物(発情をくりかえさない動物)ではこの期間を無発情期と呼んでいます。
前述したように、犬によっては1年に1回しか発情がこない例もあり、また不規則になることも珍しくありません。
また、 肥満しているメス犬は、発情徴候がわかりにくく、発情周期も不規則で発情が来ない時もあります。
交配前に減量することを心がけてください。
発情の期間は2週間【前期・発情期・後期】
発情前期
注)発情は個体差により差が生じます
発情(出血)が始まってから発情期に移行する間の時期が発情前期で、出血の開始からオス犬に交尾を許容する(許す) までです。
発情前期の持続日数が約9日~10日あります。
卵巣の卵胞が発育して、卵胞壁から卵胞ホルモンが分泌され、 この影響でいろいろな発情徴候が現われます。発情徴候として外陰部が腫大し、陰部より血液を含んだ粘液が見られます。この段階でオス犬はいつもよりしつこく寄ってきてお尻あたりの匂いを嗅ぎます。
しかし、この段階でオス犬が近づいてきたり、マウンティングしようと思っても拒否します。
卵胞は排卵が起きるまで大きくなり、 卵胞ホルモンの分泌も増加し、 発情期へと移行します。
また排卵に近づくにつれて局部が大きくなっていき柔らかくなります。
出血も少なくなり、色も濃い赤~薄い赤に移行します。
発情期
この時期は発情前期が始まってから約10日後になるのが発情期です。発情が絶頂期にあり、オス犬に交尾を許容する時期です。
発情期の徴候として、嫌がってたり怒ってたりしたのが変わりオス犬に自ら関心を示し、外陰部の匂いをかがせるようになります。
いわゆる妊娠する期間で、発情期の持続日数は約1日です。
そして尾を真横に曲げ、立位の姿勢でふんばり、局部を少し上にあげてオス犬を受け入れます。
局部も肥大して柔らかくなり飼い主が指などで外陰部周辺を刺激すると、同じように尾を真横に曲げる動作をします。
巣に卵胞が成熟し、許容後2~ 3日で排卵します。
またこの時は犬により出血が少なくなる傾向になります。
発情が終わったと勘違いする方もいるので気を付けましょう。
排卵した後に黄体が形成され、卵胞ホルモンが減少し、代わりに黄体ホルモンが分泌されます。
この黄体ホルモンは、妊娠の持続、受精卵の着床(受精卵が子宮壁に付着して母体より栄養を受けること)、乳腺の発育に直接関係しています。
発情後期
発情期に続く時期で発情期が終わってから3日~4日間が発情後期です。
発情前期と同じオス犬を許容しなくなり、嫌がったり、怒ったりします。
局部は次第に小さくなり、出血も薄赤になっていき終わります。出血が終わっても数日はオス犬が寄ってきますが次第になくなってきます。
これで2週間の発情は終わりになり、やがて次の発情期が近づいてくると卵胞が徐々に発育してきてまた6ヶ月後に始まります。
発情期を過ぎてから、機能的黄体が消失して次の発情前期までの時期を無発情期といいます。
この時期の卵巣は非活動的で発育する卵胞もなく、次の発情まで数ヶ月間この状態が続きます。
交配して妊娠していれば、妊娠の継続、胎児の発育などに関係してくる大事な時期です。
この時期に、乳腺の発育、乳汁の分泌、巣作り行動(床を前肢でかき、ボロ布や新聞紙などを集めること)など、妊娠の徴候と同様な症状が起きることがあります。これは偽妊娠と呼ばれ、交配しなくても起こることがあります。
交配の時期
メス犬の排卵時期はメス犬の許容開始後2日~3日です。
先ほどにも述べた発情期が交配のタイミングです。
許容後2日~3日で排卵が起こり、その2日~3日後に受精能力を獲得しますので保有時間を考えると許容後4日~7日が適期です。
発情出血を基準にしますと出血が始まってから12日~14日が適期(犬によりバラつきがあります)となります。
排卵は左右の卵巣から同時に起こります。
排卵時の卵子は第一卵母細胞で排卵後2日~3日で卵晋内で成熟して第二卵母細胞になり、受精能力を獲得します。
卵子の受精能力の保有時間は4日~5日です。
精子は交配後5日間受精能力があります。
卵管内に侵入してきた精子は、ここで成熟して下降してきた卵子と出会い、受精が行なわれます。
そして受精卵となって子宮内に降下し、子宮内膜に着床して母体から栄養を受けるわけです。
受精卵の着床時期は、交配後18日~24日です。(この時につわりがあることも)
理論上の交配適期はすべての犬が正常な発情徴候を示すとは限らず、犬種によって個体差がありますので現実にはかなり難しいこともあります。
なので一番は動物病院で実施しているスメア検査(細胞診)やホルモン測定などが望ましいです。
スメア検査(細胞診)のタイミングを見失わないためにも発情知識は必要です。
妊娠の確立を高めるために、2回交配を行なうのも賢明な方法です。この方法ですと1回目の交配は発情出血後12日目に、2回目の交配は14日に行なえばよいでしょう。オス犬の所有者に、前もって2回交配を予約することを忘れないようにして下さい。
スメア検査
発情中のメス犬の膣分泌物成分をスライドグラスに載せ、染色して顕微鏡下で検査する方法です。
発情周期によってその性状 (上皮細胞、赤血球、白血球など) が定期的に変化して交配時期の推定をすることができます。
以上のように膣の分泌物を検査することによって発情前期、発情期、発情後期の時期を他の発情徴候と合わせることにより正確な時期を予測することができると思います。
発情(出血)が始まって10日後ぐらいに検査に行くといいかと思います。
厳密に言えば排卵(発情期)に近ければ近いほどスメア検査は正確に予測できます。
タイミングを逃さないためにもしっかり発情の開始と知識を知って見ておかないといけませんが、犬により性状 (上皮細胞、赤血球、白血球など) が定期的な変化にバラツキがあります。
この検査は かかりつけの動物病院などで実施していますのでご相談ください。